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住まいの学校

住まいの学校

  • ~2009年「導入」編
  • 前書き 住まいの学校とは
  • 01 地耐力について
  • 02 基礎の凍結深度について
  • 03 耐力壁について
  • 04 金物について
  • 05 断熱材について
  • 06 防水について
  • 07 結露について
  • 08 換気について
  • 09 設計図について
  • 10 見積書について
  • デザイン編
  • 「構造・法令・設計監理・施工管理」編
  • 「トラブル実例から学ぶ」編

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前書き 住まいの学校とは

■2006年 9月26日 講師:佐藤宏也 一級建築士

平成7年1月17日 午前5時46分に神戸を中心とする大地震が発生しました。
後に「阪神・淡路大震災」と呼ばれる大災害の発生です。
地震の大きさを表すマグニチュード は 7.2
死者     6,432 人
負傷者   43,792 人

住宅の被害
全壊    104,906 棟
半壊    512,882 棟    と、なっています。

当時の建築業界は、建築年数の経た建物はもちろん、新築の建物までも数多くの建物が倒壊したことに衝撃を受けました。
しかもその大半の建物が「木造在来工法」による建物でした。

「建築基準法」 第一条 (目的)には以下のように書かれています。
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増産に資することを目的とする。
震災当時の業界の反省は「よくもこれだけ多くの建物が倒れたものである」と言うものでした。しかも、大半の建物は構造基準を無視した建物でありました。 建設業界は自らの責任で国民の生命と財産を守る事が出来なかったということです。
当時の法律においては木造建物の規定はほとんど無く、住宅金融公庫の基準が詳細に規定している程度でした。

以上の反省点から
平成11年から13年にかけて建築基準法が大幅に改正されました。
その結果、今まで木造住宅においては決められていなかったことが細部に至るまで法律において決められました。
たとえば、
  • アンカーボルトの位置、本数
  • ホールダウン金物の位置
  • 筋違の位置と、その際の金物の種類など・・・
ところが、人というものは忘れやすい生き物なのでしょうか、
震災直後は盛んに構造の安全が語られましたが、数年の時を経ることによりその記憶も確実に風化してしまいました。
忘却は世の常としても、恐ろしいのは建築の当事者である設計や工事に携わる者、いわゆるプロたちがこの教訓を忘れてしまうことです。

平成7年から既に11年の時を経て昨年問題となった「構造計算の偽造問題」が突如おこります。
先に述べた建築基準法の改正により建築確認申請の民間開放が行われたのですが、この思惑は建築確認申請の期間が短縮され、設計士の質の向上が図られると当初考えられたことによるものでした。 しかし、結果はまったく逆の方向に向かってしまいました。
身近な例で云いますと八ヶ岳南麓は建築確認申請を未だ必要としない地域です。 このことが建築基準法に定める細かな規定を無視しても「自由に設計・施工をしても構わない」という誤解をうんでいるようです。 しかし、建築基準法は日本全国に適用されていますので、建築物の安全の確認と基準法に則った設計及び実際の施工の確認は、設計士の責任で行わなくてはならない訳です。

私が検査員として長年八ヶ岳に来て色々な会社の施工途中の現場を見てきましたが、別荘らしい大空間の演出の為に構造的に無理な骨組みや、 建物の捻れや、地震や台風時のひきぬきの力等、全く無視しているのではないかと思われる工事が目につくのです。 いわゆる「今までの経験とカン」を頼りに地震や台風の被害の少ない八ヶ岳南麓の地理的な幸運のみをよりどころとしている工事で、欠陥住宅そのものと云わざるを得ないケースが多数ありました。

例えば、
  • コストを下げる為か、儲ける為か分りませんが、しっかりした地盤まで地中の基礎が到達していない。
  • 基礎の深さが少なく凍結深度を確保していない。
  • 地盤の強度が足りない。(そもそも地盤調査もしていない。)
  • 正しい構造金物が正しく取り付いていない。
  • 断熱材がちゃんと施工されていない。(断熱切れにより結露が発生し建物が腐る)等々。
外見上の見た目には立派な建物でも、中身は立派とはなかなか云えないものもあります。

火災に関しても少しお話し致しましょう。
すこし前に、TVのニュースで奈良で火災により母と子供二人が亡くなった事件がありました。
息子の放火が原因でしたが、火災の様子がテレビに映り、物凄い勢いで火が建物を覆い、屋根が落ち、二階の床も落ちていました。
あの様な映像を見るにつけ、「何故あれほどに燃えやすいのか?」と思います。
建築基準法においては、火を使う部屋の内装は規制されていますが残念ながらそれ以外の部屋の内装は何を使っても良いのです。
しかし、火災発生の原因で最も多いのは「放火」であり、次が「タバコ」なのです。
と言う事は、火災は自分が注意していても発生しますし、本来火の気のない寝室でも発生するのです。 建物の仕上げに心をくだくのと同じくらい、下地に耐火資材が使用されているか注意すべきと思っています。

建物の目的の究極は「生命と財産を守る」この一言に尽きると私は信じています。
今建築している建物は50年から70年は使い続けるものです。
大変残念ですが、その間に大震災は来る可能性が高く、また、火災の危険性は常にあるでしょう。

設計と施工は分離すべきという意見をよく聞きます。今後のお話しで詳しく述べますが、私がオルケアと出会い同じ会社の役員として設計・施工に携わっているのは設計だけでは管理責任が果たせず 、各職方への教育も含む「草の根教育」を実践の場で行う必要を痛切に感じたからです。

オルケアの「家造り」における私の役割は「生命と財産を守る」為に、いかに堅牢で健康的で法律を守った建物をつくるかということです。

これから全10回にわたるお話を始めますが、将来建築をお考えの方も、同業者の方も、お読み頂きご批判を賜れば幸甚です。
01 地耐力について